すべてのタスクを終わらせることはできない

すべてのタスクを終わらせることはできない タスクシュート時間術

私の愛しいアップルパイへ

与えられた仕事を整理して見通しを立てタスクを洗い出して、そしてすべてを片っ端から完了させていく快感!

そのような夢を誰もが一度は見たことがあるのではないでしょうか。しかし、すべてのタスクをすっきり片づけるなど酔っ払いが夢見たユートピアに過ぎません!

すべてのタスクを終わらせることはできない

与えられたタスクを順番に遂行して、完了するまで働く単純労働はもうほとんどありません。一見そう見える仕事でも、実際にはさらに高度な仕事を求められるようになっています。

市場はますます複雑化してきているうえ、人間ではなくコンピュータやロボットで代替できる仕事が増えてきているからです。

「より多く、より速く」はもはや重要な能力ではなくなってきているのです。これは決められた時間の中で、決められたタスクをする単純労働においてのみ有効です。

実際、時間労働(勤務時間に応じて対価が支払われるモデル)でない人も増えてきています。自ら解決すべき課題を探し出し、成果に応じて対価が支払われる形もフリーランスでは当たり前になってきています。スタートアップのように、会社員でも予想を超えた成果を上げることで評価される形が増えてきています。

このような労働では、仕事の完了は非常に曖昧な概念となります。1日で実行すべきノルマのようなものもありません。1つのタスクを完了したら、1つ以上のタスクが新たに生まれるのが常です。プロジェクトの完了は、次なるプロジェクトのスタートとなります。

タスクを進めることでノウハウが増えて視野が広くなり、潜在的な課題が発見できるようになるためです。また、タスクの完了によって自分を取り巻く環境に変化が加わるためでもあります。走りながら風景は変わっていくのですから。

そのうえ、情報は溢れています。溢れ返っています。正しい判断を情報に頼ろうとすると、情報の渦に飲み込まれかねません。必要な情報をも取捨選択しなければならないのです。さもなくば、情報をインプットしているだけでタスクがひとつも進まないといった事態もあり得ます。

現代の仕事に求められる能力は「考えること」であり、情報をインプットすることではありません。誰でもGoogleかBaiduを使える以上、情報収集そのものにさほど価値はありません。

つまり、情報と仕事の両方に区切りを設けて、成果を形にすることが重要であるということです。

このような状況下では、取捨選択と仕事の質が重要な指標となる。際限なく増えるタスクの中から本当に重要な物だけを取り出して集中することです。

単に仕事を終わらせようとするだけでは、「より速く、より多く」タスクをこなそうとするだけでは、間違った方向へ全力疾走することになりかねません。

そのようなアプローチでは、重要でないタスクに溺れて満足度や幸福感まで失う可能性すらあります。ある日冷静になったとき「こんなはずじゃなかった!」と叫ぶことになります。

ドストエフスキーはこの世で最も残酷な刑罰を「徹底的に無意味で無益な労働をさせること」と説きました。1

タスクをすべて終わらせようと、重要でないタスクを片っ端から「より多く、より速く」実行するのは、まさにこのような労働と言えます。

貴下の従順なる下僕 松崎より

参考文献

  1. 死の家の記録 Location 526/7839, ドストエフスキー, 新潮文庫, 1973/07/30