このページでは、スティーヴン・ガイズ著の「小さな習慣(原題:Mini Habits)」について、まとめていきます。
随所に他の習慣化本のエッセンスを取り入れながら横断的に解説しつつ、最後に読んでみた感想も紹介できればと思います。
「小さな習慣」の大前提
本書では、小さな習慣メソッドを「よい習慣を、長く続けるためのもの」と紹介しています。
小さな習慣メソッドの大前提は二つあります。
- バカバカしいほど小さなステップで行う
- 効果よりも行動を重視する
つまり「とにかく続けること」を重要視している、と言えるでしょう。
とにかく続け、何度も同じ行動を繰り返すことで、特定の脳の神経回路を強くすることができ、そうすれば習慣を根付かせることができる、という考え方です。
小さな習慣のメリット
では、なぜ小さな習慣が重要なのでしょうか?なぜ大きな習慣ではいけないのでしょうか?
その理由は2つ紹介されています。
- 習慣化の難所「0 → 1」を乗り越えられる
- 意志力の消耗を防ぐことができる
メリット1:習慣化の難所「0 → 1」を乗り越えられる
メリットの一つ目は、習慣化の難所「0 → 1」を乗り越えられる点です。
習慣化はロケットのようなもの。
名著「7つの習慣」では、ロケットを以下のように紹介しています。
ロケットが上昇する最初の数分間、数キロで必要としたエネルギーは、それから後の数日間、約70万キロに及ぶ旅をするために使用したエネルギーをはるかに上回るものであった。
7つの習慣
習慣化も同様で、最初の立ち上げがもっとも大変、かつ労力がかかります。
そこで”バカバカしいほど小さなステップ”を踏むことによって、最初の抵抗を外すことができます。
メリット2:意志力の消耗を防ぐことができる
メリットの二つ目は、意志力の消耗を防ぐことができる点です。
本書では、意志力を消耗させる原因が5つ紹介されています。
- 努力
- 困難の自覚
- 否定的な感情
- 主観的な疲れ
- 血糖値レベル
ここでも”バカバカしいほど小さなステップ”を踏めば、意志力の消耗が気にならないほど小さくなります。
小さな習慣を実施する上でのルール
小さな習慣を実践する上でのルールは8つあるのですが、ここでは個人的に重要だと感じた3つに絞って紹介します。それらは以下のとおりです。
- 頻繁に褒美を与える
- 強い抵抗を感じたときは、後戻りして小さく考える
- あまったエネルギーは”おまけ”。目標自体は大きくしない
ルール1:頻繁に褒美を与える
ルールの一つ目は、「頻繁に褒美を与える」です。
習慣化本の名著「習慣の力(The POWER of HABITS)」では、習慣は3つの要素で構成されると紹介されました。
それが「きっかけ → ルーチン → 報酬」で、このサイクルを”習慣ループ”と呼びます。
頻繁に褒美を与えることは、習慣ループの”報酬”に当たります。
報酬の例の一つとして「筋トレしているときだけNetflixを見てもいい」といった、外的な要因を報酬にする方法が挙げられます。
また「筋トレで筋肥大することが気持ちいい」といった、内在する動機を報酬とする方法もあります。
もちろん後者のほうが習慣として定着しやすく、それを実行したときの満足度も高いのですが、筋肥大を報酬と感じられるようになるには、すこし時間がかかるでしょう。
なので、最初のうちは外的な要因を報酬にすることも視野に入れておきましょう。
ルール2:強い抵抗を感じたときは、後戻りして小さく考える
ルールの二つ目は、「強い抵抗を感じたときは、後戻りして小さく考える」です。
習慣化したい行動に強い抵抗を感じたら、とにかく”バカバカしいほど小さなステップ”に立ち戻りましょう。
小さな習慣の大前提は、効果よりも行動を重視することです。
とにかく続けてさえいれば、結果は後からついてくる、という考え方です。
続けられないくらいならステップを下げる。これが推奨される対応なので、しんどくなったときはぜひ思い出してください。
ルール3:あまったエネルギーは”おまけ”。目標自体は大きくしない
ルールの三つ目は、「あまったエネルギーは”おまけ”。目標自体は大きくしない」です。
何度も”バカバカしいほど小さなステップ”と述べていますが、とはいえエネルギーが有り余っていて、ランニングを8kmくらいしたい日もあるかもしれません。
そんなときは気の済むまで走ってしまいましょう。
ただし、目標を大きくしてはいけません。
「毎日ランニングシューズを履いて外に出る」という小さな目標を、「毎日3km走る」と大きくしてはいけません。
あくまでも目標は小さなステップにとどめておきます。
エネルギーが余っているときは、おまけとして使いましょう。
小さな習慣を実施するステップ
最後に、小さな習慣を実践に移すためのステップを紹介します。
本書では8つのステップとされていますが、ここでは、個人的に重要だと感じた5つのステップを、自分なりの言葉でまとめてみようと思います。
- 小さな習慣を選ぶ
- なぜその行動を習慣化したいのか、を言語化する
- 行動開始のきっかけ(時間を決める、既存の行動とセットにするなど)を決める
- 報酬を考える
- 進歩を見える化するために、すべて記録にとっておく
他の3つは「小さく考える」「スケジュールを着実にこなし、期待しすぎない」「習慣になる兆しを見逃さない」と、心構え的な側面が大きいステップでした。
感想
いくつか気になった点を挙げていきます。
まず”バカバカしいほど小さなステップ”といっても、それこそが難しいという側面があると思います。
腕立て伏せを毎日1回しようと思っても、習慣化されていない状態からだとけっこう難易度は高いのかなと。
そこで重要になるのが、「他の行動とセットにして忘れないようにすること」や「報酬を設定すること」です。
“バカバカしいほど小さなステップ”だけではダメで、きっかけをハッキリさせることや、報酬を魅力的にするといった、習慣の設計がとても重要だなと感じました。
また「進歩を見える化するために、すべて記録にとっておく」についてですが、行動の習慣化だけでなく、記録の習慣化も同時に行うのは、慣れないと大変かもしれません。
なので、記録はできるだけ簡単に取れるようにする必要があります。
一番簡単な記録といえば、「カレンダーにチェックを入れる」でしょうか。
ちなみにTaskChute Cloudにも習慣トラッカー機能がありますので、もし興味が湧いたら使ってみてください。